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Boys Love Institute

ノンケ男がBL世界や雑談をだらだら綴るブログ

「どうしても触れたくない」を読んだ感想は『ツッコミ倒しても全然平気な骨太さだ!』だった

Comic ヨネダコウ

BLコミック、と云う言葉をこれ迄何気なく使って来ましたが、BLと云う単語の認識が少々雑だった事に今更ながら気がつきました。そう云えば聞いていたし読んでいたなーとアレコレを思い出します。つまり、BLとMLの件です。賢明なる読者諸氏は御存知の事と思いますが備忘目的で書き記しておきます。

  • BL=Boy's Love
  • TL=Teen's Love
  • GL=Girl's Love
  • NL=Normal Love
  • ML=Men's Love

 基本型は、この5つのカテゴライズで語られる事が多いようですね。最近ちゃんと把握しました。しかしアレですね、この分類はユリ視点が思い切り蔑ろにされていますね。レズビアンの分類はGLのみだなんて。WLってのがあってもおかしくないのになあ。いや、既に存在している?あまり迂闊な事は云えませんね、まだまだ初心者ですから。

 何故こんな事を書いたのかと云いますと、今回ご紹介する作品が正にML漫画だったんです。社会人の男性同士の恋愛話です。これは流石にボーイズと云うよりはメンズかなあとぽんやり考えていてハタと思い起こしたわけです。さてネタバレOKな方だけ拙文の続きをお読みくださいませ。

基本情報

どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)

どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)

 

 新しい職場に初めて出社した日、

嶋はエレベーターで二日酔いの男と一緒になる。
それが、新しい上司・外川との出会いだった。
無遠慮で図々しいように見えて、
気遣いを忘れない外川に惹かれる嶋だが、
傷ついた過去の経験から、一歩踏み出せずにいる。
一方、忘れることのできない記憶を抱えながらも
外川は傷つくことを恐れず、嶋を想う心を隠さない。
好きだけど、素直にはなれない・・・
不器用な想いの行方は?

 感想

まずどうでも良い事を書きますと今回の作品は初めて電子書籍として購入しました。iPad2でKindleアプリをDLして読んだんです(最早DLも何かのカップリングに見えて来てしまいますな)。半分ダメ元気分での行動だったのですが、これが大変気に入りました!

 横配置だと、ちゃんと見開き状態で読めるんですねー。僕は作家さんの意図を凄く大事にしたいと思っているものですから、見開きの状態を前提に作ったネームがデバイスの仕様によってスポイルされるのが嫌だったんですね。ただ、使ってみれば其れは杞憂に過ぎませんでした。良かった良かった。今後も電子書籍を利用する事になりそうだなー。

舞台はホモの惑星ではなく地球

はい、そう云う事です。全うな日常生活が毎日展開する、地球の話です。ですので、ゲイが同じ職場内でバンバン登場、つーか職場全員がゲイだった、なんて事がありません。この違い重要ですよね、BL、じゃなかった、ML漫画の前提としてゲイが作中の世界観ではどう云った存在なのか、と云う点。本作品で登場するゲイは驚く事にたったの一人です。

 物語は、ゲイの若者が前職場での失恋をきっかけに転職して、とある会社のシステム課に配属されたトコロから始まります。新しい職場でももちろんゲイは一人も居ないのですが、直属の上司にあたるノンケ男が気になり始めてしまうと云う展開で、彼等が恋人になるまでの色々が描かれます。

悲恋系ツンデレ受けとナチュラル系ノンケ攻め

さてゲイである嶋(しま)くんは、トラウマを持っています。前職場でノンケの男性と恋愛関係になったのは良いのですが、部署内で噂がたってしまうのです。その噂を消すためにそのノンケ男性は「嶋くんに云い寄られて困っている」と吹聴し、仕事のミスも嶋くんのせいにするなどして、会社に居難くくしたのでした。ホモの惑星ではなく、地球ではそう云う事も起こりえるって話なんでしょう。しかし……

 恋人にそんな酷い事するヤツいますかね!?ちょっと酷過ぎない!?プンスカ!

 そう云ったワケで嶋くんは、ノンケにはもう懲り懲りだと思っているにも関わらず、上司の外川(とがわ)さんをうっすら好きになり始めてしまうんですね。この外川さんと云う男、仕事は出来るが大雑把な性格で、型にハマらない自由な印象です。しかし子供の頃に家族を全員亡くしていると云う重たい過去を背負っています。それは彼のトラウマとなっていて、家族に対する憧れを持っている事を嶋くんに話すのです。そんな外川さんは次第に嶋くんの優しさや可愛さに気が付いてしまいます。

 事ある毎に嶋くんにちょっかいを出す外川さんは、二人で無理矢理行った食事の帰り道、別れ際に外川さんの方からついキスをしてしまいます。

 嶋「なにっ なにし、してるん、ですかっ」

 外「チュウ」

 嶋「それはわかってます」

 外「だってそんな流れだったしー」

 嶋「流れ!?恥ずかしくないんですかこんなところで」

 外「じゃあ見られねえとこ行くぞ」

 嶋「!外川さんっちょっと…あの俺、そんなつもり…」

 外「テンパるとよく喋るのなお前ー」

 嶋「……」

  外川さんはノンケでありながら、この後自宅に嶋くんを連れ込みアナルセックスまでヤっちまいます。ただこの時点では嶋くんがゲイである事を判っていないんですね。相手もノンケだと思いながらついついキスをしてしまい、可愛いもんだから自宅にお持ち帰りしてついつい手コキからアナルセックスまでフルコース。しかも外川さん最初からキッチリ攻めです……。

 同性の部下にそんな事するノンケがいますかね!?相手がたまたまゲイだから良かったものの普通は殴られますよ!?

 何度かツッコミを入れながらも読み進めます。こうは書いていますが、作品自体はとても安定したストーリー運びで実に読みやすく、続きが気になる構成なのです。ツッコミに耐える骨太作品て事ですね!ね!ね!

巧みな構成に惹き込まれる

なんと云いますかこのヨネダコウ先生、実にプロってるんです。そんなヤツおるかいな、と思いつつもなんだか外川さんならあり得るかもなぁなんて感じてしまう自分に気が付きます。感じさせられている……。

 そう感じさせる大きな要因は絵もさることながら、セリフに由るところが大きいように思います。喋り言葉がしっかりと個性を表現していて、気がつくと頭の中で嶋くんも外川さんも喋っているような感覚で読んでいました。コマ割りやセリフ内容、情景描写、なども相互に影響し会話のテンポ感や空気感を演出しているんですね。この辺りが物凄く良く考えられていて、メチャクチャ巧いです。

ゲイとノンケの将来

社内恋愛のBL、じゃなかった、ML漫画と云うのを初めて読んだものですから、色々の考えが脳裏を過りました。きっと何かと大変だろうなーとか、周りに理解されたとしたら凄く居心地が良いんだろうなーとか、いや絶対隠すんだろうなーとか。セクシャル・マイノリティにとって日本の会社と云う環境は、苦しい局面がメチャクチャ多そうな気がします。

 外川さんは結局、京都に転勤となり遠距離恋愛となります。同じ男ではありますが、もう想像の域を遥かに超えていってしまった設定なので、ぽかーんとしてしまいますねw。嫉妬とかするんですよね、きっと。結局は男女の遠距離恋愛と然程変わらないのかもしれませんね。

 それぞれトラウマを持った社会人の男二人が、お互いに怖がっているものをさらけ出し、それでも一緒に居たくてなんとか頑張ってみると云う展開の後、心が通じ合い物語は終わります。丁寧な心理描写とテクニカルな漫画力で、ズシリと重たいものを手渡されながらも、読後感は清々しいものでした。

絵の話

ヨネダ先生の絵は、男を男として描いています。劇中「可愛い」と表現される嶋くんですが、絵的には可愛くありません。キャラクタが可愛いのであって、絵はストレートに男のキャラクタを描いています。もちろん外川さんも。そして基本的に全員短髪。もうハッキリクッキリ男なんです。全員が。

 これは僕にとっては初めてのケースでした。ですので読み始めた最初の頃は、これで恋愛ものになるのが想像出来ないと云う感じでしたが、先に書いたようにあまりに構成が巧みなのでアッサリ惹き込まれました。判りやすい漫画的記号での表現に逃げない、丁寧な作画だなーと思いました。いやー巧い。

最後に

わー。なんとも長文になってしまいました。これでもかなり端折ったんですけどね。手元にはまだまだ未読のBL漫画があるのでガシガシ読んでいきます。あと、そろそろBL小説と云うやつにも手を出してみようと思っています。さらには、ドラマCDにも……。まだまだ旅の途中、ってとこですね。■■

Boys Love Institute
written by つよ