宝井理人先生の作品は、これで3つ目です。なんだかんだ云って、すっかりお気に入りの作家さんですね。絵と話の作り方がきっと好みに合ったんでしょう。
しかし本作は、原作つきの作品ですから、ちょっと味わいが違っているかもしれません。
いつものようにネタバレを気にせず感想を綴りますのでご注意くださいませ。読む可能性のある方は別の記事でもいかがですか。
基本情報
セブンデイズ―MONDAY→THURSDAY (ミリオンコミックス 42 CRAFT SERIES 22)
- 作者: 橘紅緒,宝井理人
- 出版社/メーカー: 大洋図書
- 発売日: 2007/09/01
- メディア: コミック
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「俺とつきあってよ 芹生」
高校三年生の篠弓弦は、
月曜日の朝、弓道部の後輩である芹生冬至と校門で出逢う。
学年を問わず女生徒に人気の芹生は
月曜日の一番最初に告白してきた相手と必ず付き合い、
週末に別れると噂されている。
一週間限定の恋人・・・
弓弦の軽い気持ちから出た一言でつきあうことになったふたりだが・・・第一弾:セブンデイズ MONDAY→THURSDAY
第二弾:セブンデイズ
FRIDAY→SUNDAY
セブンデイズFRIDAY→SUNDAY (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 28)
- 作者: 橘紅緒,宝井理人
- 出版社/メーカー: 大洋図書
- 発売日: 2009/06/01
- メディア: コミック
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彼と彼の、
『恋人ごっこの一週間』、その結末は---!?
人を好きになるのって ほんと しんどい高校三年の篠 弓弦は、
月曜日の一番最初に告白してきた相手と
必ずつきあい、週末に必ず別れると噂の後輩、
芹生冬至と一週間限定の恋人としてつきあっている。
月曜日 つきあうことになって、
火曜日 意識して、水曜日 近づいて、
木曜日 恋を自覚して──!
残されたのは三日間!!
一緒にいることが当たり前になったふたりだけど…★「セブンデイズ―MONDAY→THURSDAY」に続く残りの3日間。
感想
本作は2巻で完結との事だったので、一気読みして一つの物語として感想を書く事にしました。お話はたった一週間の出来事なのに、季刊誌掲載だった為に3年越しの連載だったとか。
良く続きましたねーこの企画……。
あと特筆すべきは、宝井先生の漫画デビュー作だったんですね!元々はイラストレータとして挿し絵なんかを描かれていたんですかね。
表紙で掴まれる
まずは表紙が雰囲気あっていい感じですね。
と云うか、宝井先生の作品はどれもこれも表紙イラストが抜群に良いです。テンカウントを手に取った頃はまだBLを食べ始めたばかりだったので判っていませんでしたが、BLという括りをヌキにしても表紙のインパクトは素晴らしいなと思います。
なんと云うか、「惹き」のある絵なんです。
切り取った一瞬の画面から、キャラクタ達のバックストーリーや情感が漏れ出ているイメージとでも云いましょうか。表紙を見ると中身が気になるので、商業作家として巧いですね!希望としては、宝井先生が天然で「こういう絵がいいかな~フンフ~ン♪」て感じで描いていると嬉しいのですが、実はしっかり考えておわれるのかもしれません。
いずれにせよ、本作も1巻、2巻共に表紙が良いです。色、ですかね。今気が付きましたが、宝井先生のお使いになられる色味がとても美しいです。少し彩度を抑えて清しい空気感が感じられます。そっかー、この色味が好きだったんだなー僕は。
本当の入り口はコッチだったのでは?
テンカウント1巻を読んだ時の感想で僕は、入口にもってこいだ、と書きました。
でも違っていましたね。セブンデイズこそ、BL漫画を食べ始めるにあたってまず最初に読むべきだったなーと、今は思います。
いわゆる、王道感があるんですよね。
これまで数少ない読了数ながらBL漫画を読んできて感じる、BLのピュアな要素だけを抜き出して作品にするとこうなる、と云う感じがします。まず基本的に本作はBLカテゴリとは云え「青春漫画」です。僕は、高校生の少年達の恋愛を描いた青春漫画、として読みました。
ただ普通に高校生男士が付き合い始めるだけの話ではナンの引っ掛かりもないのですが、7日間限定の恋人というルールがフックになってきます。ただただ男前の高校生を描くのではなく、なんだかヘンテコなヤツの方が意識に割り込んで来ますよね。
1週間だけつきあって、7日目に「好きになれなかった」と云って分かれる高校生。ヤってすぐに飽きちゃった、とかは日常茶飯事でしょうが、この物語に登場するような付き合い方ははっきり云ってあり得ませんw。高校生男子の脳味噌が発散する馬鹿さが、こんな純粋な理性的な発想が出来る可能性はゼロです。
そこはどうしても男である自分が突っ込まずには居られない部分なのですが、僕もまあまあいい歳の大人ですから、物語として楽しむ為に無粋な文句を呑みこむ事だって出来ます。本作は、BL漫画として、全うな幻想と様式美を描いています。王道ですね。
主人公二人
こんな高校生が居たらいいよねー的妄想を充足してくれるパーツとして、主人公たる二人はほぼほぼ完璧です。
顔が美しくて、女の子に対して紳士的orあまり興味がない。と云うか女の子の付き合ってもなんだかうまく行かない。月曜日に付き合い始めて日曜日に別れるイケメンが主人公の一人である芹生(せりょう)君です。彼は好きになれるかもしれないという可能性にかけて月曜日に一番最初に告白してきた娘と付き合う事にしている、んですね。
なんじゃそのえっらそうなルールw。
そんなルール決めても、誰からも告白される事なく3年を過ごしてしまうのが現実の男子高生でしょうに。ただ、女生徒が放っておかないくらい顔が美しいっていう設定ですから。
そしてその月曜日に、興味半分冗談半分で「俺とつきあってよ」と云っちゃうのがもう一人の主人公、篠くんです。彼は芹生くんの弓道部の先輩で、弓の腕前はなかなかの男なのです。そして彼も顔がすこぶる美しい。ただし彼は顔に釣られて寄ってくる女の子と付き合った結果、思ってたのと違ってガッカリした、とか云われて振られる男なのです。
ま、いずれにせよ顔が綺麗な男の子達です。
そんな彼等が、「え?これ本気なの?」「ちょっとドキっとしちゃったけど、これって……恋……?じゃないよね、そうだよね、あービックリした……でも……。」みたいな一週間を過ごした後に、ぱっやお前の事好きだわこれからも宜しくな、っていう話。
特に大きな山もありません。
芹生くんが実は以前、自分の兄の彼女が好きで、ちょっかい掛けられているクダリがあるものの篠くんをイラ立たせる役割を果たした後は登場しません。キスをするだけの淡い恋。しかし男前同士の話でも不思議とカンに触る事なく読み進められました。喉越しスッキリな感じ。とても薄味の物語なので、濃い口好きの方には物足りなく感じるかもしれませんね。
「年下彼氏の~」とは真逆のベクトルです。
ですが、コチラはコチラで爽やかな口当たりが心地よかったなー。つーか、BLという単語に持っていた元々のイメージにかなり近かったですね。そうそうこういう感じだと思ってたな、と。
絵の話
流石に2006年初出の古い作品ですから、絵がアレな感じです。宝井先生も、こういうトコロからスタートしたんだなぁとしみじみしてしまいますね。
キャラクタの顔がちょいちょい変わってしまう感じですけどね、ナイスファイトと。宝井先生もはるばる来てるなー、ちゃんと上達してますね。そもそも9年も経って絵が変わらい作家なんて、あだち充先生や諸星大二郎先生くらいですからね!
宝井先生、女子の絵がイマイチかわいくないなーと感じましたが、単なる好みの問題でしょうか。それとも宝井先生は、女子を描きたくないのかなー。
みなさんの感想
本作の感想をカキコミされていらっしゃる方も多いので、紹介させていただこうと思います。色々の感じ方があるものですねー。
映画の感想はコチラ。とっても丁寧に感想を書かれています。僕も観ないと……^^;
最後に
さて、宝井先生にずっぱまりの僕ですが、まだまだ色々の作品を入手していますから、読んでいきますよ。あと、ちょっとした歴史的資料もお借りしたので、また紹介してみようとおもっています。■■
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「テンカウント (1)」 DEAR+ CD COLLECTION
- アーティスト: ドラマCD,宝井理人,立花慎之介,前野智昭,福島潤
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2014/12/18
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