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ノンケ男がBL世界や雑談をだらだら綴るブログ

映画「無限の住人」を観た感想は『とってもよく出来たプロ仕事』だった

無限の住人 映画 チラシ 木村拓哉 2種セット

公開初日に劇場に突撃してきました。我が最愛の妻からの計らいです。ありがとうお嫁ちゃん。出来栄えがどうだったとしても、沙村広明先生の原作を愛している以上回避はあり得ません。監督は、これまた大好きな三池崇史さんです。ネタバレを厭わず書き綴りますので、ご覧になるご予定がある方はご注意くださいませ。

基本情報

感想

三池監督が好きと書きましたが、全作品絶賛しているかと云うと、そうでもないんです。

 彼は監督と云う職業を、あくまで職業としてしっかりこなす事が出来るプロフェッショナル・マインドを持っていまして、ソコは超リスペクトしています。

三池崇史と云う監督

日本の映画監督で、ここまでプロ監督に徹する事が出来る人は、実は多くありません。三池監督は、実に優秀なプロ監督なのです。

 この場合のプロとは、与えられた予算と期間の範囲内で、求められた一定のクオリティをキッチリ維持した上で、商品を完成させ納品出来る人類の事です。

 創作者としての矜持やコダワリが、時にプロとしての立ち居振る舞いを阻害するっつー事は、何も映画製作に限った話ではありません。

 「創る」と云う行為に魅せられた人類と云うヤツは、創作物への愛情や情熱が加速するあまり、プロとしての品質を下げてしまう事だってままあるわけです。

 三池監督は優れたプロ監督だと書きましたが、では作品に対する情熱や創造性が萎えきった人物なのかと云うとさにあらず。

 ココが三池崇史さんの面白いところでもあるのですが、ある作品では、規格外の独自性を放っていたり、超強烈な印象を執拗に描写するなど、表現者としてとても偏った個性を持っていらっしゃるのです。

 これが同じ監督の撮った映画なのか?と疑いたくなる程、作品のカラー、雰囲気がまるで違う。

 そんな三池監督の仕事ぶりは、そう云う意味で当たりハズレが大きいと云えます。

 僕が三池監督の作品で好きなのはこんな作品です。

  • インプリント〜ぼっけえ、きょうてえ〜
  • オーディション
  • 殺し屋1

 ま、つまりは、暴力描写が素晴らしいんです。これらの作品、もし未見でしたら是非ご覧になってください。日本にこんなに攻めてる監督が居たのか、と驚かされますよ。

 一方、「ヤッターマン」だとか「忍たま乱太郎」と云ったコメディタッチの物も監督なさっていますし、「風に立つライオン」だとか「着信アリ」「妖怪大戦争」「クローズZERO」など、もうありとあらゆるジャンルの映画を撮りまくっていらっしゃいます。

 こんな監督、世界を見渡してもそうそう居ないんじゃないでしょうか。

 その三池崇史があの「無限の住人」を撮る。

 しかしこれだけ書いておきながら僕は期待はしていませんでした。今作はきっと「プロフェッショナル三池崇史」が撮るだろう、と予想していたからです。

木村拓哉と云う役者

僕は長らくTVドラマなども観ていませんし、そも民放地上波TV番組を何年も継続視聴していないものですから、木村拓哉さんの印象がとても古いんですね。

 役者としての彼を観たのはドラマ「ロングバケーション」とかが最後かもしれません。あ、古畑任三郎の犯人役とかは見たな。まそんな感じです。

 「SPACE BATTLESHIP ヤマト」は一瞬劇場に向かいかけたのですが、結局未だに観ていません。これもまた、原作を愛するが故の葛藤だったんです。

 そう云った意味では、これまでの彼の実績や演技者としての特徴など、最新の情報全然判っていない状態で本作を観たわけです。

 まんま木村拓哉さんでした。

 これはよく耳にしていた評価です。何を演じてもいつでも「木村拓哉」のままである、と。

 多くの場合これは揶揄であり、批判として見聞きする事が多かったように思います。

 そして映画「無限の住人」においても、主人公は「万次」ではなく「木村拓哉」その人でした。

 「雇い主が用心棒の心配してどうすんだょ、っばーか」

 このセリフを木村拓哉さん、そのまんまのマとイントネーションで想像してください。

 僕が覚えているドラマ「ロングバケーション」の瀬名君そのままとは云いませんが(年齢が違い過ぎるので)、やはり木村さんは木村さんだったんですね。

 しかし誤解なさいませんよう。

 僕は「万次が全然万次ぽくねーじゃん」とか「あーはいはいいつものキムタクね、知ってる知ってる」とか「あれ演技してねーし」とか酷い事を云いたいワケでは全然ありません(ほんとに酷いですね!)。

 木村拓哉のまんまでいいんじゃない?

 これは原作に対する愛深き故の「3周回って、もはやアリ」の境地である可能性は否定出来ませんが、コレはコレで成立したね、と云う感想を抱いたのです。

 まず客観的に木村拓哉さんが木村拓哉と云うブランドを臆することなく今でも貫いている事はもっと評価されてもいいかもしれない、と感じました。

 貫いているのではなく他のキャラクタになれないのだ、と云う主張があるかもしれませんが、仮にそうだとしても誰の興味も惹かない低品質のものであったなら、木村拓哉ブランドが存在し続ける事は出来なかっただろうなぁと思うんですね。

 映画「無限の住人」における万次は、残念ながら僕の想像していた万次ではありませんでした。きっちり木村拓哉さんでした。そこに怒るファンの方もいるんでしょうかねまあきっといるんでしょう。

 しかし今になって思えばですが、誰が演じても万次にはならないでしょうね。

 程度の差はありこそすれ、一致などしようがない。これは無限の住人に限らず、漫画原作の実写映像化の企画は、総てそうです。

 じゃあ実写映像化に意味などないのか。

 いえ、そうではないと思うんですね。実在する人物が架空のキャラクタを演じる事で、新たな可能性が生まれるとしたら?

 トニー・スタークはもはやロバート・ダウニー・Jrのブランドに塗り替えられましたよね。同様にウルヴァリンはヒュー・ジャックマンのブランドに塗り替えらえましたし、ハリー・ポッターはダニエル・ラドクリフのブランドに、です。

 てことは、ですよ。

 原作が持っている設定や風体はある程度踏襲しながらも、結局は役者と云うブランドとのコラボレーションの結果であると思えばイイワケですよね。

 そんな風に考え始めると、役者・木村拓哉てのはとんでもないブランド力があるんじゃない?と思えるようになってきました。

 そんなわけで、自分の想像とは全く違ったキムタク版万次を観て、あーそう云う解釈ねーなるほどー、と観ていました。

 決して否定的な気分にならなかった、って事です。

脇を固める役者陣

ここ、全っ然期待してなかったんですね、失礼な話ですけど。ところが良かったんですよ、良い人は。

 まあこれも、味が濃ゆい役者さんは自分味でしっかり料理してしまうので、結果的に高品質になるって事なんでしょう。

 以下良かった人々です。

山崎努

俳優のノート〈新装版〉 (文春文庫)

全編を通して10秒くらいしか映りません。セリフも二言三言か。でもすんげー存在感あるんですよねえ。流石と云いましょうか、もうなんだか判りませんw。画面が突然重厚になるあの空気感はそう簡単に真似出来ないでしょうねー。切腹シーンあります。

 あ、役名は「伊羽研水」ですが娘・伊羽密花は登場しませんでした。

市川海老蔵

市川海老蔵 眼に見えない大切なもの (Grazia Books)

閑馬永空です。トレーラーを観た時は、ズラが似合ってないように感じられたし、あちゃーと思ってたんですが、彼もまた役者の存在感があり良かったんですよね。自分でもかなり意外な感覚でした。

 喋り方なんかも、いい解釈だったなあ。こちらも流石の一言。

市原隼人

G 市原隼人 (写真集)

実は、彼だけは期待していたんです。そして期待通り良かったんです。尸良を演じておられます。原作「無限の住人」の登場人物中、ダントツのクズキャラで、僕も大好きなんですね。このキャラクタに市原隼人さんをキャスティングしたのは上手いと思いました。イー感じでクズキャラでしたね。

 もったいないのは出番が物凄く少なかった事でしょうか。アッサリ死んじゃいました。

金子賢

金子賢 美筋トレーニング 週4日でつくる、魅せるベストボディ

最初誰だか判りませんでした。が、司戸菱安を演じておられます。彼も良かったですねー。超雑魚キャラなのに、ちゃんと存在感を放っています。意外に出番が長いのも驚きでした。彼は名バイプレイヤーとして今後が期待されますね!

物語としての感想

まーね。2時間ちょっとにまとめるってなると、これくらいの情報量になるよなー、しゃーねーなー、という感想です。

 全体の流れとしては、エピソードが多いものの一つ一つが淡泊で次々と流れるようにシーンが積み重なっていくので、感情移入する暇がない感じでしたね。

 どこかのエピソードを選んで、もっと掘り下げるパターンでも良かったかもしれないなぁと感じました。

 あとはシナリオ上のキャラ設定が微妙に原作と違うのが、どうしても気になってしまいました。これはまあ、原作ファンである以上どうしようもありません。

 しかし、天津影久や吐鉤群が、シンプルな身勝手ヴィランに成り下がっていて、あー残念ーと感じながら観ていました。2人ともなんだか普通に万次と斬り合って普通に殺されましたしねえ……。

 原作では、彼等の信条や背負っている物の大きさなど、単なる勧善懲悪ではない理屈が語られていたのがとても魅力的でした。ま、原作読めって事です。

 乙橘槇絵の内面的なキャラクタ造形がかなり変更されていたのも、残念な要素でしたね。

 死に方は微妙に原作に合わせて銃殺だったりしますが、あの薄幸美人キャラは再現度低かったなぁ。これはシナリオが原因だと思います。しかしまあ、このキャラクタを掘り下げるだけで1時間使っちゃうから、そりゃ無理だよなって話ですか。

 個人的好みで云えば、木村多江さんの感じとかぴったりだなぁと思うんですがいかがすかね。

 物語は、原作第1話、浅野家襲撃、凛と万次の出逢い、黒衣戦、閑馬戦、凶戦、槇絵戦、凛と天津の邂逅、無骸流との接近、街道での尸良手首チョンパ、逸刀流毒盛り宴惨殺、凛独り旅、研水自害、からの、原作にないオリジナル展開で、公儀300人対万次&天津戦、で公儀、逸刀流全滅、と云う結末。やりすぎ感は否めないですな。

みなさんの感想

僕が感じた事はこんな感じでした。多くの方々がこの映画をご覧になられているようでして、以下のサイト様で読むことが出来ます。

最後に

役者さんの仕事っぷりも監督の仕事っぷりも悪くありません、いやしっかりプロとしてのクオリティを実現しています。

 ただ、それ以上のミラクルや化学反応はなかった、と云う事です。それだけです。

 原作ファンのあなたは、無理して劇場に行く必要はないと思いますので、レンタルを待ってください。

 キムタクファンのあなたは、急いでください。たぶんすぐに公開終わっちゃうのでね。■■

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written by つよ