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Boys Love Institute

ノンケ男がBL世界や雑談をだらだら綴るブログ

「チョコスロトベリーバニラ」を読んだ感想は『男同士の恋愛は変幻自在だのう』だった

有名どころの作品らしいですね。このブログにおいては、腐女子パイセンである三田麻央さんのオススメ12冊の話題や、三田クソコラの話題、いやそれは関係ありませんでした、とにかく三田麻央きっかけでこの作品の存在を知りました。

 厳密に云うと書店ではロックオンしていました。表紙が印象的なんですよね。ベタではありますが僕は赤と黒のコントラストに弱いんです。さて内容はどうだったのか。

 いつもどおりネタバレを気にせず書きますので、未読の方は他の記事でもどうぞ~。

 

基本情報

チョコストロベリー バニラ (バンブーコミックス 麗人セレクション)

チョコストロベリー バニラ (バンブーコミックス 麗人セレクション)

 

感想

まずおさえておきたいんですが、作者のペンネームがなんと読むのか困りませんでしたか?僕はさっさとググれば良いものをアレやコレやと考えてしまいましたよ。

 サイケイ?いや変か、イロドリノケシキ?全然違うか、ええ?なんて読むの……?

 しかし平仮名である事でノーマークだった名前部分がヒントだったとは。サイケイデリコ、サイケデリコ、ああそーゆーことね!ダジャレね!いや違う?まあ近いセンスでしょ。

 扉を開く前だと云うのに随分達成感を味わってしまいました。ふぅ。

 さて内容は……、と扉に手をかけた時、視界に何やら既視感を感じて手を止める僕。なーんか見たことある文字面があったぞ、なんだっけこの感じ。

 チョコストロ
 ベリーバニラ

 ああ!チョベリーバ!チョベリバか!なっつっかっし。何十年か前に、メディアでは「最近の若者女子が使っている言葉」だと紹介されていた、しかしリアルでは一度たりとも聞いたことのない、都市伝説のようなあの「チョベリバ」を平成のご時世に思い出す事になろうとは。

 つーかこの単語選びのセンス、ペンネームのダジャレ感に共通するナニかある。

 作者おっさんじゃね?

 いえ、なんの根拠もない憶測ですええ気にしないでくらはい。世代は少なくともまーまー僕に近いんちゃうかなー、と云う気分でやっと扉をめくりました。

二等辺三角関係

物語はホモ受け×1とノンケ攻め×2の織り成す三角関係がベースになっていまして、登場するキャラもほぼこの3人だけ。3人コントみたいな構成でただただ会話とセックスが順番に展開します。

 こう書いてしまうと、なんとも平板で面白味に欠けた作品のようですがサニアラズ、実に情緒的かつ作者の主張が剥き出しとなった、デリケイトな物語でした。さてコントドラマを展開するメインキャラをザックリアウトラインでご紹介します。

ミネ(峰岸 克也)

ただ1人の受け。見た目は少々人当たりがキツ目で無関心とクールを気取った男っぽい印象でありながら実は学生時代からゲイを自覚しており拾(ひろい)くんをずっと好きだった。涙もろく、恋愛感情の起伏で度々涙を流す。

拾(河本 拾)

攻めの1人。タケくんと幼馴染で、子供の頃から何でも2人で分け合って生きて来た。それが恋人であっても例外ではなく二人の共有物としてきたのだった。同窓会でミネくんと再会し自分が恋愛対象として好かれている事を知ったのをきっかけにミネくんと付き合う事になる。そしてまた、タケくんと2人でミネくんの体を開発し愛するのだが……的なアレ。

タケ(多田 健)

拾くんが与えてくれるものを、2人で共有する事になんの抵抗も感じず、自分だけのものにしたい欲求も持たない。期せずして自分だけのものになった時も、その途端に全く興味をなくす。ミネくんの相手も、拾くんの提案がきっかけでイヤイヤ始めた事だったが、段々とミネくんの事を独占したい気持ちが沸き起こる。

 もうね。ドラマの匂いがプンっプンします。

 この物語、攻めの2人は受けになる事は全く考えていません。元々がノンケの二人なんですね。ゲイのミネくんは、数年間拾くんへの想いを隠してきたわけですが、同窓会で再開した拾くんアッサリ察知されてしまって以来、完全にメスとしての快楽に導かれて行きます。

ギャップはBLの必須調味料

何も今更偉そうに云う事でもありませんが、基本ですよね。このミネくんが一見気が強そうではねっ返りのキャラクタである事が、もはやフラグぴんぴん現象です。

 最初は拾くんに入れたい気持ちだったのに、すっかりメス化してしまい、しかもソレは拾くんとのあ、なーるセックスではなく、タケくんとのあ、なーるセックスによって開花していくのが、フックです。

 恋した拾くんの事を、好きで好きで泣いてしまう程のミネくんにとって、タケくんは邪魔な存在でしかないはずなのに、拾くんに強要された3Pホモセックスではタケくんに突っ込まれている時のほうがリアクションが良いので、拾くんがヤキモチを焼く事になります。

 オラついている男子がセックスになると顔を真っ赤にして涎を垂らしながら感じまくる、というケースは鉄板ですね。作者の趣味趣向が剥き出しで提示されています。

拾くんがBL空間のキーマン

3人ともホモセックスに興じているワケなのですが、やはりキーマンは拾くんです。彼の飛びぬけた変態性がこの二等辺三角関係構築の上で、最重要ファクターだと思うんですよ。

 この拾くんというキャラクタは本当に個性というか、よくもこんなキャラクタを作ったなーと感心する事シキリです。

 まず拾くんにとって恋愛対象の性別はほぼ無関係でポイントは、拾くんの事を好きだと云ったかどうかに集約され、彼の主体的な感情の介入は必要ないんですね。

 しかしその代りに拾くんが要求するのは、自分と同じくらいタケくんを好きになる事です。

 3P前提。

 渋々ながらも付き合い始める恋人に対して拾くんも愛情を感じるのですが、タケくんとの3人共有状態が前提となっている為に、どこまで行っても外発的な恋愛の域を脱しません。

 嫌われる事の恐怖から解放された恋愛なので、失った事の痛手も比較的軽いわけです。僕は、これは拾くんの防衛本能なんだなと解釈して読み進めました。

 しかし拾くんの変態性は正にこの防衛本能に根ざしています。

 恋愛体質のサガとして誰かを好きでいないと居心地が悪いものですから「傷付くのが怖いから恋愛はしない」のではなく「最初から、相手が高い精神的ハードルを飛び越えることを前提とした恋愛しかしない」状況を選びます。

 そうするとどうなるか。相手は、この特殊な恋愛関係が耐えられなくなり、またはタケくんの方がより好きになって、関係性が壊れます。少なくとも拾くんの事がただ嫌いになって離れる可能性は、理屈上一先ず回避されるんですかね。しかも、ですぞ。タケくんは、拾くんから気持ちの離れた女性には全く興味が湧かないわけなので、こんなに安心出来るパートナーは居ないわけです。

 そんな恋愛を女性と繰り返していた拾くんは、偶発的なきっかけではありましたが同性愛の領域に踏み込みます。

 しかし、それ以前に恋人を2人で共有するような恋愛をしてきているので、性別なんて些細な要素なのかもしれません。そしてあくまで彼等は、攻めですからね。

 物語は、劇的な事件を境に関係性が一変する、と云った起伏もなく(w)、3人の微妙な関係の変化を経て平和に終わります。まあ、殆ど出オチみたいな関係性の前では、大きな出来事なんて、もはやないですしね。

 とは云え、僕はこんなにも色々の考えを喚起されたわけですから、やはり作品の力はあるんでしょうね。

最後に

面倒な事をたくさん書きましたが、素直に面白かったですよ。エロさも、ある種の美学を感じます。彩景先生の他作品も読んでみたくなりました。■■

Boys Love Institute
written by つよ