このところBL作品のみ描いている作家さんを追いかけていましたが、今回はBL以外の作品も多く発表されている作家さんです。中村明日美子先生です。
ネタバレOKの方のみ、以下拙文をお楽しみくださいませ。
基本情報
合唱祭前の音楽の授業中、同級生でメガネの優等生・佐条利人が歌っていないことに気付いた草壁光。佐条は歌なんかくだらないのかと思っていたが、ある日の放課後、だれもいない教室でひたむきに歌の練習をする佐条の後ろ姿を見た草壁は思わず声をかける…。高校時代のピュアな恋愛をさわやかに描いた、青春ときめきボーイズ・ラブ第1弾!!
収録作品:【夏】【秋】【はじめての人】【ばかと大馬鹿】【二度目の夏】【サボタージュ】描きおろし
感想
んー。
もうね。
なんつーかなー……いや……んん……。
大好き!
何もかも大好きになっちゃったので、これ以上書くことないよぅ、と云いたいトコロですが、書きますともええ書きますとも。
非日常としてのBL
ストーリーはとある男子校で同級生になった、くるくるロン毛バンド野郎とストレート黒髪神経質眼鏡野郎との恋愛物語です。「まじめに、ゆっくり、恋をしよう」と云うテーマで描き始めた作品だそうで、本当にその通り二人の恋のスピードは、とてもゆっくりしています。
突然その気になって手コキやフェラチオを始めてしまうような事はありません。
それは二人の関係を、二人がとても大切にしているからで、純粋さを剥き出しにした男子の初心さや無軌道さはきっとこうなんだろうなぁと感じました。
舞台背景はホモの惑星ではないので至極日常的です。だから大きな事件も起きなければ強烈な個性を持った人間がクラスにごろごろいるワケでもありません。
そんなリアルで退屈な日常の中、二人は同性を好きになると云う非日常のイベントに翻弄されます。 二人は未熟ですから、自分の気持ちを上手く伝えられないしコントロールも出来ないのです。
それでもなんとかして誠実に居ようとする一生懸命さがグっときました。
もう!とにかく読んで!今すぐ手に入れて!
絵に対する美意識
絵も最高です。明日美子先生は、三白眼教の信者、いや教祖なんでしょうか。
三白眼属性の人は、明日美子先生の作品を今すぐ手に入れなさい、今すぐ。
明日美子先生は、三白眼というか絵そのものに対する美意識をクッキリハッキリ表明していると感じます。美しいモノを正しく美しい線で表現する事に心血を注いでいる、とでも云いましょうか。
脇役のキャラクタはセリフがあっても目をまともに描いていません。
モブは白目です(ガラスの仮面……)。
しっかり目を描いているキャラクタは全て三白眼ですし、美しいのです。
この「美しい」という言葉も誤解されそうです。少女マンガ然としたキラキラする何かを目玉の中に持っている生き物の事ではありませんよ。
睫毛が異常に長い生き物でもありません。髪の毛がツヤツヤしまくってあり得ない形で固まっている生き物でもありません。もう、ともかく美しい……。はぁ溜息。
線が抜群に美しいんですよねぇ。
画材はナニを使っているのかなぁ。ミリペンとか?殆どイリヌキがない線なのでツケペンじゃないのかしらんんんん。
僕としては宇野亜喜良大先生を思い出すのです。もちろん宇野亜喜良大先生も大好物です、ええ。明日美子先生と宇野亜喜良大先生は、かなり近いイメージの美学をお持ちなんじゃないかなぁ。
あと、僕が知る限り、毎コマ毎コマここまで眼鏡を丁寧に描いている漫画作品は見た事がありません。明日美子先生が持つ、眼鏡属性の業の深さを垣間見ましたね(マリアナ海溝クラス……)。
眼鏡属性の人は、明日美子先生の作品を今すぐ手に入れなさい、今すぐ。
最後に
最高な出来事としては、この作品、まだ続きが存在しているんですね。まだ手に入れていませんが確実にゲットします。その感想はまたいずれ。
どうせ好き好き云いまくるだけの内容になりそうですケド!
オマケ
因みに、以前明日美子先生の作品を読んだ事がありました。有能な部下(女子)が貸してくれたのですが、その時も個性的な美学を嗅ぎ取って、好きだなーと感じたのを思い出します。コチラも紹介しておきますね。
BLではありませんが、エロありです。つーか美学を感じるエロ漫画ですね。
上司にエロ漫画を貸してくれる部下に恵まれた事に感謝しつつ。■■