Boys Love教習所

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「グランネリエ」を読んだ感想は『もしかしたらデビルマンになれる作品かも!?』だった

最近、アクセス解析ページで当ブログを訪れてくださる方々の検索ワードを見てみたトコロ、「グランネリエ 感想」と云う結果が多い事に気が付きました。

 はて。なんじゃそりゃ?

 で、ググってみると、宝井理人先生の漫画作品のタイトルじゃありませんか!あーナルホド、それでテンカウントの感想に誤爆して、BL教習所に迷い込んだって事だったんですね、はいはい。

 迷える仔羊の皆さんは、嘸かしガッカリして憤慨直帰された事でしょう。

 グランネリエちゃうやんけ!ボケッ!かえるわっ!

 だったら、そのグランネリエとやらを読んで、感想エントリが存在する状態にすれば良いよね!と云う事で読みました。

 ええと。前フリはこんな感じです。いつもの通り、ネタバレを気にせず書きますので、悪しからず宜しくお願いしますね。

基本情報

グランネリエ(1) (Gファンタジーコミックス)

グランネリエ(1) (Gファンタジーコミックス)

 

特殊な力を持つ“植物の種”が存在している世界。

中でも希少な“種”の研究・栽培を認められた者は『グランネリエ』という国家資格を与えられ、資格を持たない者の研究・栽培は厳しく取り締まられていた――とある田舎村に父と暮らす少年・リュカ。彼は違法に栽培した希少な“種”を売ることで生計を立てる日々を送っていた。

一方、父は妻の死をきっかけに謎の“種”の研究にのめり込んでしまう。父の様子に不安をつのらせるリュカだったが、ある夜、グランネリエ研究機関の治安部隊が現れたことで、その運命は大きく動き出していく…。

気鋭作家・宝井理人が描く本格ファンタジーストーリー、ここに開幕!!

感想

「グランネリエ」1巻を読み終えました。まず最初に書かねばなりますまい。僕は大きなミスを犯していた事を。自分の確認漏れが招いてしまった悲劇の全容を、焦りが生み出す人生の歪みを。つまり……。

 これBLちゃうやんけ!

 はい、これを云いたいフリだったんですね。そうです、この「グランネリエ」なる宝井理人先生の作品は、一般誌に掲載されている一般向け漫画作品でした。

 何故か僕はBL漫画を発表されている作家さんはBL漫画しか描かない、と思い込んでしまっていたらしく、宝井先生の名前を見た瞬間に疑う事なく「グランネリエはBL漫画である」と信じ込んでしまっていたのでした。

 更に悲しい事に、1冊の2/3を読み終わる頃までその事実に気づきませんでした……。

 これもまた、「テンカウント」の読了経験から、1巻の最初はあからさまなBL的性描写がないケースもある、などとちょっとBLの事判ってますよ的知ったかぶりの心理が働いてしまった、不幸な勘違いだったんですね。嗚呼恥ずかしいったらありゃしない……。

 それでもなんでも、ちゃんと読んだ事には違いないので、拙い感想を綴る事にしました。番外扱いにしようかとも考えたのですが、誰にもBL漫画以外の感想など書くなと云われたワケではないので、正規カテゴリとして扱う事にします!

まさかのファンタジーものに困惑

テンカウントの印象があまりに強かったせいか、宝井先生は現代劇しか描かないという、これもまた勝手な思い込みがあり、とにかく驚かされました。この作品、架空の世界を舞台に展開するファンタジー物語だったんですね。

 主人公男子の名前が「リュカ・アングラード」。そしてリュカの幼馴染で親友男子の名前が「アベル・ギヴァルシュ」。ぎヴぁるしゅ……。

 この時点でちょっとクラクラしてしまう程に僕はおっさんです。もうね、メインクラスのキャラクタにこんなややこい名前が登場しちゃうと、脳味噌が拒絶反応準備運動を始めてしまうんですよ。

 いえ、別に日本人が作るファンタジーものをことごとく楽しめないワケではないんですよ。SW2.0はガチで好きですし、菊池秀行先生の小説で洗礼を受けた分野にも触手が動きます。

 好きであるが故に、ファンタジー作品と云うものは一朝一夕で構築出来るような容易いものではない、と云う事もまあまあ知っていたりもします。そう云った意味で、「グランネリエ」は世界観の精度にほんのり違和感を感じてしまいました。

世界観構築については足腰の強さが物語没入の大前提

当たり前の事ですが、異世界が舞台である以上現代とは異なる世界観が設定されているはずです。

  • この世界では人はどんな社会を構築しているのか
  • 人々の倫理観はどうなのか
  • 文明の成長度合いはどうなのか
  • 価値観を決定している重要要素は何か
  • 産業はどの程度
  • そこはホモの惑星なのか

 まだまだありますが、これらのような世界を構成する色々の要素をしっかり考えられた舞台を作った上で物語を展開する作品と、そうでない作品とでは作品の安定感がまるで違います。

 そしてそう云う世界観の説明的セリフやキャプションを、物語中において「説明」として表現する事なく、何気ない場面や会話や行動などで読者に少しずつ見せていって、知らぬ間にその世界の事を理解している状態に導かれる、ってーのがファンタジー作品を楽しむ醍醐味の一つではないでしょうか。

 まあ、はっきり云うと、僕がそう云う作風が好きなんですね。作家の腕が光る瞬間でもあります。

 「グランネリエ」においては、チョット説明的なパートが浮いてしまっている印象なんですよね。それセリフで説明しなくてもいいのになぁ、なんて気持ちになる事が、何度かありました。しかしまあ単純に、世界観を新たに創作して読者の脳内スクリーンに映し出すのは、とーっても難しいって事ですよね。

 ここで、ザックリとだけ色々の設定をご紹介します。

植物の種子

この世界では植物の種子が重要な価値を持っていて、高価な物から安価な物まで様々な種子が存在している。希少種の特別な種子は栽培も困難である為に数か月分の食糧に相当する金額で売買される程に高価である。

特殊な種子

種子の中には一般に栽培する事が禁じられているものがあり、危険視されている。この種子を人間が体内に取り込むと発芽し人としての性質を失い、植物的な体質に変化する。また、何かしらの特殊能力を獲得する。この状態になった人間は戸籍上死亡扱いとされ、発芽に関与した者は厳しく罰せられる。

グランネリエ

種子の管理を行う国家公務員の組織。禁止されている種子の監視や警察的な活動を担う。グランネリエに所属するには国家試験にパスする必要があり大変難度が高い。またグランネリエは種子に関する知識が豊富であり、種子のエキスパート集団でもある。新種の種子を開発する技術を持つ者も居る。

リュカ

以前はグランネリエに所属する父と共に都市部で生活していたが、ある晩慌てた様子の父に連れられ辺境の地域に逃げるように転居する。以来父は、何かの種子の栽培、研究に没頭して部屋から滅多に出てこない生活に。

幼馴染のアベルと一緒に、種子に関する勉強をしており、将来グランネリエになる事を夢見ている。

ある日父から託された種子を飲んだ事により、体内で希少種子が発芽し、2年間の昏睡状態の後植物の体質を持つ事になったが、この事はアベルとアベルの父親しか知らない。また不思議な力が備わったようだが、詳細は不明。

アベル

リュカの幼馴染。父親と住んでいる。リュカ程には種子に詳しくないが、リュカと共に将来グランネリエになる夢を持っている。発芽したリュカを匿っている。

あの作品を思い出してしまう

なんかね、あの人気漫画の設定や構成が脳裏をかすめていきました。

 でーっかい全裸のおっさんが、壁を壊したり人間をバリボリ食べまくったりするのを、ぴょんぴょん飛び回って倒す漫画を、ご存じでしょうか。進撃な感じのヤツ。

 あれに実は物凄く似ているんですよね。

 いや、そう感じているのは僕だけなのかなぁ。父親が何やら研究してて秘密を持っている事、その研究成果が主人公に託され不思議な体になってしまった事、幼馴染のツレがいて体の秘密の事を共有してる事、国家レベルの特殊な組織が警察的役割を担っている事、とかとか。

 まあこれは剽窃だ!とか云いたいワケではありません、ええ。云い方を変えると、こう云った設定というのは実はテンプレート的なものだ、と云う事です。

 物語のフックを配置して後に引っ張れる複線を張っていくと、近い形の物語になりがちって事ですね。決して悪い事でもなんでもないと思います。

今後の展開に期待する事!

で思ったんですけどね。まだ1巻しか読んでませんし、連載も全然追いかけていないのでトンチンカンな事書いてしまうかもしれませんが、こういう展開だったらいいな~と妄想したので書いておきます。

  • まずリュカは植物の側の存在として人間から狙われ排除されそうになっていく
  • アベルはグランネリエに合格し組織に所属する
  • 幼馴染同士が対立する関係
  • 種子を発芽させた人間は新たな人類の可能性を秘めている事がリュカの父親が残した研究資料から判る
  • 人間vs新人間
  • お互いの意志に反してそれぞれの勢力でリーダーに成長していくリュカとアベル
  • 大きな流れの渦に巻き込まれて行く二人、そして世界の運命を決定する最後の対決……

 こんなんが好き!

 つーかこれ、デビルマンです、はっきり云って。不動明と飛鳥了の愛憎劇を今作に当てはめたいです。あ、そうすれば、間接的にBL的味わいも付加されますね!!!いいじゃんマジで!これでいこう!

 更に「トリフィドの日」へのオマージュなんかが含まれてくると、更にウマウマですねー。宝井先生、SFはお好きじゃないのかな~。

絵について

テンカウントの時点で、安定した絵の作家さんである事は判っていました。今作を読んで思った事は、割とノーキャラだなーって事です。

 大体3種類くらいの顔しか描けないのかも、って云うと意地悪ですね。まあ、ウケる顔を書けるならそれが3種しかなくても十分だ、とも云えますからこれは大きなマイナスではないのかも。

 ただ背景はなかなか頑張って作画されています。いいアシさんが居るのか、ご本人がパースも達者なのか。背景コマからその世界の風俗や習慣が表現されている部分は、流石に判っていらっしゃる、と感じましたね。

最後に

なんだか、予定外にロング・エントリになってしまいました。つーか、作品の感想少なくね?まあ、今僕が書ける事は書ききったように思いますので赦してくださいまし。

 2巻、どうしようかなー。セブンデイズ読みながら考えますね。■■

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written by つよ