Boys Love教習所

BL世界や雑談をだらだら綴るブログ

NMB48三田麻央がBL関連で叩かれているという話題でいくつかの確認事項

BLを理解しようと決めこのブログを立ち上げました。色々の情報やニュース、この界隈の礼儀や慣例などを勉強中の僕にとって、こう云っては失礼ですがとても為になる出来事がありました。

 タイトルだけ読むとちょっと意味が判らないのですが、内容を読むともっと意味が判らないかと思います。 少なくとも半年前迄の僕はきっと判らなかったでしょうね。

 この出来事をきかっけに、これ迄に知り咀嚼してきたBLと云うジャンルやBLを取り巻く空気と云うものを整理してみようと思います。

 覚書として。

事の発端

アイドルグループ・NMB48の三田麻央(19歳)が、7月28日に放送されたバラエティ番組「今夜くらべてみました」(日本テレビ系)に出演。大好きなBL(ボーイズラブ)について熱弁を振るったところ、大炎上する事態を招いてしまった。 

 まあ、こう云う事らしいんですね。三田麻央が元々BLが好きで、自ら腐女子を公言していた事から、番組担当のディレクタ、作家はその事をネタに番組構成を組んだのだと思われます。

番組ディレクタの思考(勝手に想像)

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  1. 最近BLと云うものがどうやらじんわり流行り出しているらしい
  2. 映画や漫画などで目にする事が増えてきたBLなるもので番組一本作れる
  3. よく判っていない一般視聴者に説明出来るような語り部が欲しい
  4. 丁度いいのがNMB48に居る
  5. このキャラクタで一盛り上がりさせるにはどうするか
  6. レギュラー巻き込んでBLをネタに説明と実演でまとめる→BL漫画いいね

 このブログでも紹介しました「宇田川町で待っててよ」の実写映画化や、「同級生」のアニメ映像化など、全くBLに興味を持っていなくても制作サイドに携わっている人であれば、BLというキーワードがアンテナに引っかかっていたのだと思います。

BLって、これからクるの?」と。 

 『今夜くらべてみました』の放送作家には、『AKBINGO!』の担当者も含まれていますから、三田麻央がピックアップされたんでしょうか。

 番組では三田麻央が自分の趣味である、BL漫画について語ったそうです。

  1. 自分はBL漫画が大好きで500冊程所持している
  2. 徳井義実(チュートリアル)、後藤輝基(フットボールアワー)をキャラクタとしてBL漫画を描いた
  3. 本人達がその漫画をアフレコした
  4. 逆カプについて語った
  5. 腐女子のタブーについて語った

 ザックリこんな内容だったみたいですね。さてこの放送後、Twitterなどで腐女子の皆様が、騒然としていたみたいです。

腐女子の皆様の反応

ざっと拾い読みしてみたトコロ、三田麻央が叩かれている理由は大体こういう感じ。

 色々の細かい事をまとめるとこの3点に集約されそうな気がします。

  1. 全国区のTV番組で知識の浅い(若い)アイドルが腐女子、BLについて語った
  2. 腐女子を自称しているがTVで発言する時点で腐女子が何たるかを判っていない
  3. 腐女子のタブーを語っていながらナマモノの取り扱いを判ってない

 まとめ方が間違っているのかもしれませんが、僕にはこう見えます。

 この部分については、非腐女子勢からは「意味がわからん」「なんか独特のルールがあるらしい」と云った反応があり、その反応事自体も火に油を注いでいるように見えますね。

BLはそもそも同人誌がメインストリーム?

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まず大前提として、「BL」なるものがどう云う性質をもったコンテンツなのか理解していないと、今回の出来事の本質が見えてこないように思います。

 僕なりに調べてみました。

 漫画史的に云えば、1976年の「風と木の詩」がエポックとなり世間一般にエンタメとして認知されたBL(少年愛)ですがその多くは同人誌界隈での発展をしてきたんですね。

 この事はナニを意味するかと云えば、著作権的観点からは完全にNGであると云う事です。

風と木の詩 (1)

風と木の詩 (1)

 

 自分が愛するキャラクタを勝手に拝借し勝手にカップリングする、と云う行為は楽しみとして高密度・高純度でありながら、客観的には違法でありなおかつ同性愛に対して不快感を示す人々からの迫害という側面も手伝って、表だって云々出来ないものだと云う事になります。

 実際に、とある漫画コンテンツがBL同人界隈で二次創作され売買されている状況に対して、原作者が不快感を示しBL同人化を禁ずと発言した為に、その後同コンテンツの二次創作が出来なくなったケースもあるようですね。

 二次創作のルールとして公式に迷惑をかけてはいけないと云う共通認識

 自分が好きで密やかに二次創作し、幾人かの同好の士に受け入れられ静かに楽しんでいた楽園を、理屈上反抗出来ない立場である原作者に壊されたとしても、誰に対して文句が云えましょうや、いえ云えません。

 作品を愛していればこそ、よりこのジレンマは強くなるワケですから、なんともアンビバレントな関係性です。

 それでも、漫画家の多くは自分の作品・キャラクタを愛してくれるファンの愛情表現として黙認している事も多いとか。

 この事も表立って公表するようなものではないので、暗黙の了解によって成立しているデリケートな空間という事になりますね。

性をエンタメとして取り扱う事

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とにかく、原作があるものはそもそも他人の創作物であるため、ひっそりと楽しむのが礼儀であり宿命であるという認識が二次創作者達の間では慣例となった、と云う事でしょう。

 そもそも、こう云った慣例を明示化する事自体がタブーかもしれません。

 そしてBL愛好者の多くが女性であった事も、秘する慣例となった理由に影響しているように感じます。

 女性が性的な何かをエンタメとして取り扱う事の後ろめたさのようなものが、社会全体が持つ偏見や思い込み、社会的通念、から絞り出されていると云う事です。

 男性が同様にエロ同人誌を二次創作した場合でさえおおっぴらに出来ない空気がある中、それが女性だった場合には相当な圧力を持っていると想像出来ます。

 更に多くの理由が存在しているかもしれませんが、ともかく一つや二つではない理由や状況が絡みあって、二次創作BLというものが地下に潜って行ったのは想像に難くありません。

nmmnについて

nmmnナマモノ=実在の人物を扱った二次創作 

 漫画やアニメの二次創作に比べて、ナマモノのBL二次創作は更に状況がシビアです。

 何せ本人が自分の与り知らないところで勝手にゲイにされて誰かとカップリングされているワケですから、本人バレした時のNG発動確率がとても高いって事なんですね。

 公式に迷惑をかけないと云うルールのもと活動しているワケですから、本人バレによるNGは創作停止命令と同義です。

 この事から、同人誌制作者は購入する相手にも、対象となる芸能人本人やその事務所に送るなどの行為はしないよう求める向きもあったとか。

 また、BLジャンルに興味がない一般人にも見せない様にするのが礼儀。

 興味がない人達に不快な想いをさせてしまう可能性があるからです。

 もし、これ迄書いたような背景や空気を知らない人にナマモノBL同人を見せて興味本位で情報を流布されたり、最悪何かの繋がりで本人にまで情報が伝わってしまうとしたら?

 大好きな対象が漫画キャラクタではなく実在する人物なのですから、よりデリケートな取扱いになる事は理解出来ます。

 自分が好きな人に、自分の創作を否定されるのはなんとしても回避したい。と云うか存在そのものを知らないままでいてくれるほうがいい。

メディアに露出する事による影響の恐怖
そうやって、隠遁生活の中で発展・醸造されて来た暗黙の了解が、BL二次創作界の本質的な部分でしょう。
 しかしここ数年の世間の流れによって、それまでのファン・愛好家の思惑をよそにBLコンテンツが一般消費されつつあります。

 現在BL漫画・小説の専門誌は20誌を超え、単行本の売上も右肩上がりです。

 先に書きましたように、実写映画化やアニメ映画、果ては深夜枠とは云え地上波放送に迄その販路は拡大しました。

 BLがメディアに晒される事が珍しくなくなった。

 この事はBLを永く愛して来たファン・愛好家にとっては、必ずしも喜ばしい出来事ではないようです。

 何故なら、誕生と発展の基礎構造が崩れてしまう恐れがあるからです。

  • もしメディアに取り上げられ特集を組む為に同人誌即売会にTVカメラが入るような事があるとしたら?
  • タレント本人承諾の上でTV番組が作ったBL同人誌が売られたとして、その事をきっかけにタレントの友人に同じ種類の同人誌が出回ったとしたら?
  • そしてその中に別のタレントを題材にしたBL同人誌が含まれていて本人バレする事があるとしたら?
  • 同人誌即売会に一人で出向き密かに楽しんでいたBL趣味が、不本意な形で撮影され全国放送の電波に乗ってしまったとしたら?

 不安の種はいくらでも思いつきますよね。

 こういった不安や恐怖を内包しているのがBLと云うジャンルであり本質の一部である、と僕には見えました。

 「密かに勝手に楽しんでいるのだから好きでもない興味のない人間が面白半分に入り込んで来ないで欲しい、あなた方が思う以上にこの空間はデリケートでありそれを維持する為に色々の苦労を掻い潜ってきているのだから」

三田麻央の行動について思う事

長々と書きましたが、僕が以上のような認識を持った上で思う事。

 「三田さん、あんたちょっと調子に乗り過ぎちゃったようだね」

 や、気持ちは良く判りますよ。

 好きな漫画やそのジャンルを語りたい気持ち、そのコンテンツに触れた直後程その気持ちはより大きいですよね。

 開拓している最中だという思いこみは達成感と充実感に繋がり、人より一歩前に出たような錯覚を覚える楽しい時期です。

 漫画コンテンツ表層にのみ興味を持った為に、浅はかな上滑りをしてしまった事は間違いないでしょう。

 これはご本人にも「ヤリスギタな」と自覚を持ってもらえると敵が減って良いのでは、と思います。

 また、三田さんばかりが叩かれるのはおかしいとも思います。

 何故なら、彼女が企画を持ち込んで成立した番組ではないし、構成まで彼女が考えたワケでもないからです。

 云ってみれば、三田さんは番組に呼ばれて「あなたの好きなBLの事をどんどん喋って」と、仕事として依頼されたワケです。

 正直云いまして、AKB48もNMB48も、合わせて10人くらいしか名前と顔が一致しないような僕です。

 三田麻央と云う名前も初めて聴きました。

 彼女クラスのタレントさんが(失礼!)、TV番組に個人で出演する事などは極めて稀なのではないでしょうか。

 しかも全国区番組です。

 そんな千載一遇のチャンスを逃す事が出来るか、いや出来ません。語り部に適した知識量や理解、配慮がなかった事は三田さんの過失でしょう。

 しかし、その内容を企画し、編集・放送した番組ブレーンの不勉強さが根本的な問題だな、と思いました。

最後に

BLについてはまだまだ未熟な僕ですが、出来る限り情報を集め考えた上で本エントリを書きました。

 グレーゾーンも多いカテゴリですので、もしかしたらおかしな認識が混じってしまった事により、どなたかの不快感を煽ってしまってない事を切に願います。

 しかし冒頭に書いた通り、僕にとっては有意義な事件でした。色々を考え、知る機会となりましたので。

 旅はまだまだ続きます!!!■■

Boys Love Institute
written by つよ